1.公害総論 ①環境基本法など

このブログでは公害防止管理者試験の解説をしていきます。

 

環境基本法

まず、1.公害総論の環境基本法についてです。

過去6年で環境基本法からの出題履歴は以下の通りです。

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環境基本法出題履歴

※22条以降は出題なしのため、割愛

 

出る条文と出ない条文でかなりばらつきがあることがわかります。一度でも出題された条文はキーワードを中心に覚えておく必要があります。赤字は過去に出題されたキーワードです。

 

第1条(目的)

この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。

 

第2条(定義)

この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

2 この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

3 この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。

第2条については以下の通り整理してみました。

用語

定義

環境への負荷

  • 人の活動により環境に加えられる影響
  • 環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるもの

地球環境保全

  • 地球全体に影響を及ぼす環境の保全(以下、具体例)
    • 地球全体の温暖化
    • オゾン層の破壊
    • 海洋の汚染
    • 野生生物の種の減少
  • 人類の福祉に貢献
  • 国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するもの

公害

  • 環境の保全上の支障のうち、以下の事業活動によって
    • 大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭
  • 人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること

 

第8条(事業者の責務)

事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

 

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。

 

3 前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

 

4 前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

 

第16条(環境基準)

政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。

 

2 前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、次の各号に掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該各号に定める者が行うものとする。

  1. 二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるもの 政府
  2. 前号に掲げる地域又は水域以外の地域又は水域 次のイ又はロに掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該イ又はロに定める者
    1. 騒音に係る基準(航空機の騒音に係る基準及び新幹線鉄道の列車の騒音に係る基準を除く。)の類型を当てはめる地域であって市に属するもの その地域が属する市の長
    2. イに掲げる地域以外の地域又は水域 その地域又は水域が属する都道府県の知事

3 第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。

4 政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の防止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。

2項が難しいので解説します。

まず、類型とは水質・騒音について利用目的や地域によって基準値を変える必要があるため、類型という区分を作って、類型ごとに基準値を設定しています。条文の「二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には」は「水質・騒音については」と読み替えてください。

これを踏まえて、水質・騒音の対応車は以下の通りとなります。

 

水質

騒音

政府

二以上の都道府県にわたる水域

-

都道府県知事

上記以外の水域

航空機・新幹線の騒音

市長

-

騒音(航空機・新幹線除く)

 

第20条(環境影響評価の推進) 

国は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

 

第22条(環境の保全上の支障を防止するための経済的措置)

国は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動(以下この条において「負荷活動」という。)を行う者がその負荷活動に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることを助長することにより環境の保全上の支障を防止するため、その負荷活動を行う者にその者の経済的な状況等を勘案しつつ必要かつ適正な経済的な助成を行うために必要な措置を講ずるように努めるものとする。

2 国は、負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的な負担を課すことによりその者が自らその負荷活動に係る環境への負荷の低減に努めることとなるように誘導することを目的とする施策が、環境の保全上の支障を防止するための有効性を期待され、国際的にも推奨されていることにかんがみ、その施策に関し、これに係る措置を講じた場合における環境の保全上の支障の防止に係る効果、我が国の経済に与える影響等を適切に調査し及び研究するとともに、その措置を講ずる必要がある場合には、その措置に係る施策を活用して環境の保全上の支障を防止することについて国民の理解と協力を得るように努めるものとする。この場合において、その措置が地球環境保全のための施策に係るものであるときは、その効果が適切に確保されるようにするため、国際的な連携に配慮するものとする。